破産犯罪に執念 二代目笹田岩次郎
2026年09月04日

図書館通って法律勉強
『企業の繁栄は共存共栄にある』というのが岩次郎の信念だ。これを裏付けるものが、いま刑事訴訟として継続中の〝詐欺破産財〟である。これには次のようなエピソードがある。
三十七年一月四日、札幌の会社が総負債二千万円をだして倒産した。四十万円のコゲつきを知って岩次郎がかけつけたのは、それから二日あと。すでに大手六社が財産を持ち去り、中小企業が集まったころには、何ひとつのこっていなかった。『とくい先が倒産していつも痛手を受けるのは中小企業だ。企業が破産申告して、裁判所から破産宣告を受ける前に、力のある企業が財産を持ち去ることは破産犯罪だ』と岩次郎は、札幌地方検察庁に告訴した。ところが担当検事が『この告訴を提出するからには学説か判例を持ってこい】と冷たい態度。『それでは一か月だけ猶予をほしい』と帰樽した。
岩次郎は図書館通いをして真剣に破産法を勉強した。しかし、捜し求める破産犯罪を書いた書物はなく途方に暮れかかっていたときに、やっと金子一著『強制執行法と破産法』という本をみつけ、天にものぼる気持ちだった。ところが金子一という人の肩書がわからず学説として裏付けるものとはならなかった。思いあまった岩次郎は上京して調べたところ元東大教授とわかり、意気揚々して小樽に帰って、再度告訴した。
通常、倒産した企業体が一部の債権者に財産を押さえられるということは道義的に好ましくないと思っていても、それが法律としてのよしあしはわからなかった。しかし、岩次郎は『法的にもゆるされるべきものではない。いつも泣き寝入りする中小企業のために全財産を投げ出しても戦いたい』と、強い意地を持って法律を勉強したところ、〝詐欺破産財〟に『倒産した人が自分の利益を図って、一部の債権者に残余財産を譲渡してはいけない』ことを知ったわけだ。
だが、告訴してから一年が過ぎてもなんら音さたないため、昨年十二月札幌地方検察庁検事正に訴えたところことしの一月十三日起〇〇して道められた。現在も刑事裁判として継続中だが、この行為は同業の中小企業者からは大いに喜ばれている。
このことが刺激となり、昨年秋釧路で起きた倒産問題でも、なんらトラブルなしに債権者の話し合いが行われたほどだ。
こんな岩次郎だから、本州のメーカーら同業者のうわさを聞きにきても『うっかり他人のうわさを口にすれば、それが輪となって倒産に追いやることもあるだろう』いっさいノーコメント『あなたが取り引きを心配するならやめた方がいいでしょう』というだけだ。『こんな過当競争時代に、企業が生きる道は共存共栄しかない』というのが岩次郎のすべてだ。
戦時中は自動車販売、マッチ、せっけん、食料品、日用雑貨の問屋を営む笹田商店社長として今日まで歩んできた道は地味そのものだが、、この間、二十七年拾月から一カ年小樽市の初代教育長として教育行政にたずさわり、さらにことしはライオ道地区年次大会委員長として活躍『職域を通じて地域の社会奉仕』に専念している。
(敬称略)
小樽経済百年の百人
北海タイムス社編
昭和四十年六月十六日~昭和四十年九月二日連載
そば会席 小笠原
北海道小樽市桜2丁目17-4電話:0134-26-6471, 090-5959-6100
FAX:電話番号と同じ
E-mail:qqhx3xq9k@circus.ocn.ne.jp
営業時間:10:30~21:30
定休日:月曜日
