仲仕の話~荷カギ

2015年02月25日

二 荷カギ

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 仲仕の手は節くれだっていて、普通の人よりもかなり大きいのが特色です。いつも手を使っていたので大きくなったものと思われます。その大きな手に「荷カギ」を握ります。

 長年、港湾労働に携わっていたひとの話では、「荷カギ」を使う労働者を「沖仲仕」といい、「肩」を使うひとを「リク」と区分しています。

 「荷カギ」は大体、三種類あります。それは「長柄」と「ノンコ」と「爪ノンコ」です。

 「長柄」というのは、文字通り長い柄のついたもので、その柄の長さは~そのひとの好みによってちがいますが~大体一尺(約三十㌢)ぐらいです。上の方にカギがついていて、柄の下の方は握り易いように太くなっています。

 なぜこのように柄の長いものを使うかといいますと、荷物を積み上げるときに、ポンと放り投げますが、その時、荷物の上に待機している「受けて二人」が「荷カギ」で引っかけます。下の者は、上に揚げた荷物を一瞬、その長柄で押し上げるためです。亦、放り上げる時、長い柄ですと、よく飛ぶのでこのような長いものを使うのでしょう。

 次に「ノンコ」ですが、どうしてこのような名称がついたのかわかりません。「ノンコ」は「長柄」と対で使います。持つところを握り易いように削り、そこに皮の輪を付けて「長柄」と一緒にして腰に差して歩きます。

 「爪ノンコ」は、麻袋を運ぶのに使います。カギのついているものですと麻袋は破けてしまいますので、上のような三本の爪で持ち上げます。

 このように、仲仕の荷カギは三種類ですが、これらを上手に使いこなすには一年ぐらいかかるということです。

~堀 耕 仲仕の話より