仲仕の話~朝から深夜遅くまで働く

2015年02月28日

五 朝から深夜まで働く

・沖仲仕

 沖に停泊している本船に十人から二十人ぐらいの仲仕が乗り込みます。ウィンチがハシケから荷物を持ちあげ、ダンブル(船倉)に入れますが、それを整理して積み上げるのが彼らの仕事です。また本船からハシケに積み降ろすのも仕事です。

 荷物をハシケから本船に引きあげる時は、偶数の仲仕がダンブルで荷物を左右均等に、しかも長い航海中に荷崩れしないようにうまくさばきます。また、本船からウィンチ降ろされる荷物は途中から落下したり、ロープが切れたりしますので、この沖仲仕の仕事はかなり危険を感じていますのでことばづかいなどは殺気だっていて、ひとを呼ぶのにも「何しているんだ。バカヤロー」とか「このヤロー気をつけろ」ということばが慣用句になっています。

・リク(陸)

 さて山のように積まれた荷物を載せたハシケは引き船「ポンポン蒸気やランチ)に引かれて運河へ向いますが、引き船は運河の入り口でUターンします。ハシケはその惰性を利用して運河に入ってきます。船頭はハヤスケという落葉丸太の長いサオで、その先端にはモノを突く鋭利な先と、ひっかけるかぎがr字形についているもので所定の場所に導き入れます。着くや否や、二本の歩み板がさっと敷かれ、待ちかまえていたリクは、ベルトコンベアーのように働きます。朝から始めて、夜の八時、九時は早い方で夜中の午前零時ごろまで働かされることもあります。そんな時にはロシア人の作った黒パンが二つ出ますがそれはとても硬く、そのうえサッカリンで味付けをしているため、後味がとても悪いので何度もツバを吐き出しました。

 もう、その付近一帯は「荷こぼれ」で足の踏み場もなくなっていますが、世の中はうまくなっているもので、翌朝早くそれを拾い集めて商売する女のひとがおります。それを「ミゴ集め」といいます。