青山元場 青山熊蔵出張番屋

2017年09月27日

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 かつて祝津3丁目110番地(旧地番祝津15番地)にあった仐青山元場の関連建物は大半が北海道開拓の村に移築復元されているが、木造2階建ての網蔵と木造平屋の廊下だけが現在地に遺存している。開拓の村への移築にあたり、所有者の違いにより移転が見送られたということだが、これら2棟の存在と元場関連建物の移転後の空地が、かつてここに祝津の3大網元の一つである仐青山の元場があったことを今に伝えている。

 また、旧祝津12番地には75坪の石庫が現存しており、道路に面した平側の石壁に「仐」の屋号が彫り込まれている。旧祝津18番地には石造倉庫2棟が遺存している。海側の元喫茶店パームツリークラブは間口5間桁行20間50坪の「一、二番庫」で、山側のものは間口5間奥行20間100坪の大正9年建築の三番庫である。

 仐青山漁業部『昭和六年八月更正建物台帳』(北海道開拓記念館所蔵)から、当時の祝津の仐青山漁場を復元してみると、以下のようになる。

 

祝津10番地 漁舎(木1、60坪)、網倉(木2、7.5坪)、廊下(木、40坪)

祝津12番地 石庫石1、75坪

祝津15番地 廊下(木1、40坪)、外流(木1、3坪)、便所(木1、1.5坪)、

      湯殿(木1、  3坪)、漁舎(木、84.5坪)、文庫(土2、12坪)、

      一、二番庫(石1、1.5坪)、一、二、三、四雑庫(木1、40坪)、

      米倉(石1、35坪)、機械場(木1、8坪)、網倉(木2、8.75坪)、

      細工場(木1、54坪)、雑庫(木1、40坪)

祝津18番地 廊下(木1、40坪)、一、二番倉(石1、50坪)、三番倉(石1、100坪)

      ※太字は現存、下線は北海道開拓の村に移築。

       「木」は木造、「石」は木骨石造、数字は階数、坪は建坪。

 

 さらに旧22番地には仐青山の分家である亼青山(初代青山熊蔵)の出張番屋が遺存している。昭和53年発行の「小樽の建物」(千葉七郎著)掲載の写真ではすでに金属板の屋根葺材は大半がはがれ、杮(こけら)が露出し、朽ち果てた感があったが、現在は垂木が露出するにとどまらず、未使用部分から朽ち果て原形を留めていない。亼青山出張の漁場施設は旧祝津22、23番地に多数あった。

CIMG9446祝津漁場配置図

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