旧日本郵船株式会社小樽支店のあらまし~2

2015年06月03日

CIMG9873明治39年竣工当初

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 昭和30年に小樽市が日本郵船(株)から譲り受け、翌31年から博物館として利用してきました。昭和44年3月には明治後期の代表的石造建築として国の重要文化財に指定されました。

 しかし、年ごとに老築化が目立ってきたため、昭和53年にまず屋根瓦葺替工事を行い、その後57年に全面修理のための調査に入り59年10月修復工事を着工、33ヶ月の工期を経て62年6月完工しました。ここに商都小樽を代表する明治後期の商業建築が優れた文化遺産としてよみがえりました。

 建物は街路に面した正面(東面)の表玄関を中心に左右対称、北面に貴賓用横玄関を配し、背面両翼に張り出すコの字型平面をとっています。外壁は厚さ約75cmの小樽天狗山産軟石、腰・胴蛇腹・軒部分は登別産中硬石を使用、淡色系の優雅な色調ながら堅実で重厚なデザインの外観です。内部は事務所としての機能性と、大理石敷きの横玄関、繊細な木彫りの大階段手すり、美しく精緻な中心飾り等格調高い装飾が調和して、華麗な貴賓室を有する商業建築として、設計者の周到な計画と配慮が見られます。内装には米国製のスチールシャッター、スプリングシェードローラー、建具金物類を用い、暖房は地下にボイラー室を設け蒸気暖房とし、窓はすべて二重ガラスで北国の冬を考慮した当時としては最新式の設備を備えていました。

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CIMG0599小樽天狗山軟石と登別産中硬石

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