大高登氏宅

2018年08月24日

CIMG0706ニシン成り金の生活をしのばせる明治の洋館

~明治の洋風別荘 大部分、昔のまま使用~

 ニシン御殿と言うのは各地に残り、繁栄を極めた大漁の昔をしのばせているが、大高氏宅は、昔ニシン網元が別荘に建てたものという。

 金にあかせて作った建て物ではある洋館というのが一つの特色といえよう。

 大高さんがこれを買い受けてから約十年。当時五十年ぐらいたったといわれていたというから、明治四十年代の建築らしい。

 木造二階建てだが、明治の建て物のほとんどが、土台も木も使っていたのに比べ、ここは土台が鉄筋コンクリートの半地下室になっているのも珍しい。

 延べ四〇〇平方㍍以上の大きい家だが、節のある木材は一カ所も使っていないほど材料も吟味してある。

 土台は十二㌢の角材、障子はオンコの一枚もの、二階は階段、ドアなどは最近の建て物に見られぬ豪華なもの。ふろ場の天井には、先頭のような蒸気抜きがついており、ふろもトイレも十㌢角ぐらいの大きなごつい白タイル張り。

 玄関の左手が応接間になっているが、壁は白のシックイ仕上げで、天井に模様がはいっている。こうした壁はいま修理する左官職人もいないそうだ。二階にも同じような応接間があり、どちらも鹿鳴館時代をしのばせる豪華だが古風なシャンデリアがぶら下がっている。

 窓はすべて上下に開く式で外側には全部鉄格子がはまっている。

 大高さんはここに移ってから台所など一部を近代的に造り替えたが、土台も建てつけも全然狂いがないので、昔のままで使っている部屋が大部分だ。

 七つも池のある広大な庭にマッチした明治の洋館、ニシンの網元がいかに豪華な暮らしをしていたかしのばせるに十分だ。

~小樽の建築 北海タイムス

昭和43年7月24日~8月11日連載より

ここに建っていたようです