西海岸にしん漁場の食、自然、漁業 その4 

2015年10月16日

(3)農業とのかかわり

 西海岸の漁村は全般的に背面が山という地方が多い。したがって平地が狭く農地に乏しいため、本格的な農業の発達が見られない。

 また、北海道の開拓の歴史をみると、漁業移住と農業移住の形態や性格にきわめて大きな差があり、近世から引き続き行なわれてきた漁業移住者は専業漁師としての性格を強くもっていたことも、農業を大きく発展させなかった理由の一つであるといえる。

 しかし、地元の刺網漁夫などの場合、わずかな土地での自家消費用の野菜つくりは古くから行なわれている。とくに、にしん粕の干場として使われた場所は、にしん粕やにしん油がしみこんでおり、漁期が終わると大根や馬鈴薯の畑とした地方が多い。

 離島の焼尻島ではさらに土地が狭く農地はいたって少ないが、それでも干し場の一部や島中央部の平地を開墾して畑とし、馬鈴薯、だいこん、にんじん、キャベツ、ねぎなどをつくっている。だが、その生産量は少なく、各時代を通じ、野菜類は他の地方からの船で運ばれている。

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