旧佐々木銃砲店(総覧 日本の建築より)

2016年05月22日

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 佐々木銃砲店は、明治27年の創業で小樽唯一の銃砲店として栄えた老舗である。明治31年の入船町大火で焼失した後に木骨石造2階建ての建物として新築される。

 現在はほとんど面影を残していないが、竣工当時は洋風意匠の目立つ建物として入船通りに異彩を放っていた。袖壁や2階の後退など在来の町屋形式に近い面もあるが、全体的に縦長のプロポーションで随所に洋風要素が見られる。尖塔状の胸飾りのついた屋根窓、洋風木造手摺りのついたバルコニー、石と煉瓦を交互に貼った側面装飾、唐草模様を浮彫りにした開口部の楣など多彩な構成は、洋風意匠にかけた当時の熱気が感じられる。

 その後、増築によりプロポーションが変わり、モルタルも塗られるなど改変が著しい。わずかに建物側面に軒の持送りと、交叉銃を表わしたパネルが残り、創建時をしのばせている。

~総覧 日本の建築 小樽関係抜粋より

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