五楽園(旧金沢邸) (総覧 日本の建築より)

2015年12月18日

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小樽市富岡1-32-35

明治37年(1904)頃

設計者不明

木造平屋

 明治中期から大正時代にかけて小商業港湾都市としてめざましく発達した小樽には、往時の繁栄を物語る建築が数多く残されている。その多さの故か、優れた建築でも人目にとまらず静かに時を刻むものが少なくない。この住宅もその一つといえよう。旧金沢邸として明治後期に3棟建てられたものの1棟である。建築材は北前船で持ち込まれたと伝え、随所に良材が用いられている。

 寄棟造桟瓦葺きの母屋に入母屋の玄関を構え、右手に下見張りの洋館、左手と裏に煉瓦造の蔵を配する(一つは蔵座敷)、和風住宅と洋風応接間の組み合わせは、この時代の特色で、小樽にはこの形式が今なお残っている。

 平面は四間取り、座敷床柱には竹が用いられ、縁側ガラス戸にはモダンな桟割りが施されている。また洋館内部には大理石暖炉と床の間がしつらえられるなど、自由な意匠が印象的である。

~「総覧 日本の建築」より

IMG_3806住所からたどるとおそらくこの場所に