流芳後世 おたる 海陽亭 (二)

2016年01月03日

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『玄関』

 玄関には、改修の跡は見受けられないが、建築当時と同じであるかどうかは、判断できなかった。

 古い資料の中に、冬の海陽亭の玄関前で、客を写した写真があるが、その写真の玄関の位置は、現在の玄関の位置ではない。写真に写っている玄関の屋根には、起りがある。しかし、今の玄関は、起りの無い、切り妻型の屋根である。

 写真の冬景色の太陽光線による影や、方角、高さ、建物の大きさなどから推測してみたが、、写真の玄関については、その場所を断定出来ない。又、2階の大広間に収容する客の人数から数えて、写真の玄関では捌ききれない。だからといって今の玄関が、建築当時の玄関でないという否定的資料もない。

 写真に写っている玄関のほかに、今の玄関があった可能性も、十分に考えられる。

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 今の玄関の外壁には、1900年(明治33年)に引かれた電話の二一番と、1914年(大正3年)以前に引かれている三三四番の電話番号札が、表札の両脇に掲げられている。

 客が出入りする表玄関のほかに、女将とその家族、芸者や幇間が使った玄関使用人や御用聞きの使う勝手口があったと思われる。

 今後、新たな資料の出現を待ちたい。

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