戸出物産倉庫

2024年02月13日

CIMG5381海洋少年団音楽隊の練習場にも使われている戸出物産倉庫

~がん丈な構造 荷を守り62年

 入船十字街から海へ向って下ると、小樽でも有名な7つの道が交わる交差点に出る。その一角にかつて共成株式会社、現フジヤ家具センターがあり、その筋向かいにある。道路に面した建物が戸出物産小樽支店で、倉庫はその裏に続いているが、現在は北海道通信電設が所有している。 

 この付近は、明治、大正期にかけて繁栄した小樽商業の一大中心とであり、その中で戸出物産は織物卸売業を営み、確固たる地位を築いていた。本社は富山県で、最初は札幌に支店を置いたが、交通の便を考え、明治三十年に小樽に支店を設けた。社長以下重役は小樽に在住、本社よりも小樽支店に重きが置かれていたことがわかる。

 戸出物産倉庫は、大正六年ころに建設されたもので、設計は当時の小樽支店長、中村利三郎氏。工事は戸出物産の直営で、大工の棟梁(とうりょう)は山本氏であった。倉庫の構造は三階建てで、一階と二階に柱が二本ずつあり、三階には柱がない。屋根は本州とは一味違う合掌造りの姿を呈しており、当時としてはかなりハイカラだった。敷地面積は六十坪(約二百平方㍍)で、造りががん丈である。約六十二年間、火災、盗難、破損もなく、平穏無事に現在に至っている。 

 現在は、海洋少年団の音楽隊の練習に使われている。

~小樽の町並み 朝日新聞社編

昭和54年5月9日より

 

《指定第41号》

IMG_5123ただし、表の旧戸井物産小樽支店も含みます

~2016.4.25