長者番附

2016年07月12日

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 ここに大正十三年調べの小樽新聞社がつくった小樽長者番附をご紹介する。

 長者番附なんか庶民に縁がないなんてお仰しゃらずにご覧いただきたい。この一枚の番附が小樽の経済史を物語り小樽財界人の浮沈栄枯盛衰興亡を如実に示してくれる。

 行事が市役所と税務署であり、検査役は大正十三年衆議院議員選挙有権者名簿となっている。我国では納税額によって選挙権を取得する制限選挙がこの年まで行なわれていたが、第一次大戦後の民主々義思想の普及と運動により普通選挙の実現を見たのが大正十四年であるから、その直前の財産調べということになろう。婦人参政権が認められたのが終戦の昭和二十年であるから今から考えると感慨無量の時代である。 

 東の横綱板谷さんは変わりないとして西の横綱藤山さんは姿を消し、上位横関、犬上、関脇、石橋、小結、今井、前頭、宮越、河原、西の関脇、金子、小結、寺田、前頭香村、板谷順助、橋本など錚々たる顔ぶれの後裔は今や小樽の財閥ではない。中段下段にあってもこの番附に載っている人びとは当時の小樽財界では一流の人物であって著名人であるが果たして今日その地位を持続しているのは何軒あろうか。栄枯盛衰、盛者必滅は世の習いとは言いながら現代資本主義の非情さをハッキリ示してくれるようである。

~おたるむかしむかし 下巻  月刊おたる

越崎 宗一

昭和39年7月創刊号~51年12月号 連載より