花園十字街一角の建物(昭和10年)

2017年03月20日

 前月号では、大正5年当時の公園通りの店と、花園十字街の一角にあったビアホールについて記した。今月は、そのビアホールの向かいの建物、小樽無尽株式会社(現在の北洋銀行)について触れてみたい。

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 小樽無尽株式会社は、はじめ北海道無尽会社として大正6年、小樽倶楽部において創立総会を開催し設立したが、大正7年に小樽無尽会社と改称された。昭和7年に瀧川無尽会社と合併し、業界に頭角を表すに至った。

 現在、北洋銀行になっているこの建物は、昭和10年に竣工されたものである。建物の設計・施行は大倉土木株式会社で地鎮祭が昭和9年8月26日に行われ、起工は同年9月1日。上棟式は12月16日であった。

 竣工は昭和10年10月7日で、業務オープンは同月14日である。この工事に携わった人員は延7千374人に及んでいる。

 建物は本館と別館から成っており、鉄筋コンクリート、耐震・耐火構造である。様式は近世式であるが、内部は日本様式を加えた特色あるものであった。

 建築当初の外装は、腰花崗石、タイル及び富国石張りで、窓や出入り口はスチールサッシ、シャッター付であった。床はフローリングブロック張り、人造石塗研出し仕上げ。天上の壁は漆喰塗り一部壁紙となっていた。

 暖房は重力式低圧蒸汽暖房。水道。トイレは戦場式浄化装置。電話は共電式交換機の局電話3回線、私設電話26回線が設置された。

 建物は1千231平方㍍。高さは約18㍍で、本館は地上3階、地下1階で別に中2階があった。付属別館は2階建であった。

 本館の地下は、ボイラー、書庫、更衣室。1階は事務室、金庫室、応接室になっていた。2階には社長室、事務室、無尽会場。中2階は電話交換室。3回は大集会場、控室、応接間、物置があり、その上が塔屋となっている。付属館の1階には宿直室、用務員室、調理場があり、その2階は図書室、和式の大広間が設けられていた。

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 小樽は、銀行や金融関係会社、ホテル、商社、料亭、喫茶店などで貴重な絵画を目にすることが多い。かなり古い絵であっても、その人の画歴や作品系列を知る上で意外な発見をすることがある。

 この無尽会社の社長室(現支店長室)にも絵画が飾られていた。平沢大暲の弟、平沢貞章(明治44年~昭和20年)の油彩60号で「春日池畔」という作品であった。

 貞章は昭和3年、町立小樽中学校(現潮陵高校)を卒業しているが、在学中は同行の美術クラブ白潮会に在籍し絵を描いていた。そのあと松戸高等園芸学校に進学し、作品を二科展に出品している。

 昭和15年、小樽中学校の講師をしているので、小樽の人は平沢大暲と共に貞章を知っている人が多い。

 平沢貞章の「春日池畔」という作品は市に寄贈され、現在は小樽美術館に収蔵されている。

img_2378A昭和10年、竣工当時の建物、立て看板には500円会、3000円会開催と書いてある。

img_2380B客溜(左)営業室(中央)金庫(右)

img_2381C無尽会場(左)社長室(中央)応接室(右)

~小樽市史軟解 第2巻 岩坂桂二

月刊ラブおたる 平成3年11月~5年10月号連載より

 

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〈指定第69号〉

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