実態調査(1992年)から その25~商業地域と住宅地域

2021年07月15日

 2.街並みと石造建築

 ③商業地域と住宅地域

 小樽の街並みを彩る石造建築の大半は、ここに紹介する住宅付属の文庫蔵や商店附属の商品蔵、そして質蔵といった、10数坪程度の比較的小規模な石蔵である。

 稲穂、花園では、明治中期から昭和初期にかけて商品蔵、質蔵を中心に展開し、現在でも遺構が多数存在する。錦町、豊川町も明治初期から開けており明治末から大正初期にかけての文庫蔵、質蔵が多数みられる。長橋、石山、末広、富岡、緑、松ヶ枝など山手の住宅街には文庫蔵が多い。富岡だけは明治、大正期の遺構が多く、他は地区は昭和初期のもの大半を占めている。

~p100

勝納町の蔵

 

小樽蔵めぐり イラスト帖

2017年6月30日初版第1刷発行

著者  今村敏明

発行者 鶴井 亨

発行所 北海道新聞社

に、よると

野口商店蔵

〇勝納町2-4〇1906(明治39)年建築

〇木骨石造2階建て〇約46㎡

 建てられたのは1906(明治39)年と記録にありますが、建て主は不明です。

 仲介者を通して1970(昭和45)年ごろ購入した野口商店は、畳資材一式の卸と、畳の工事を請け負う会社で、現在は二代目。蔵の中には壁一面に畳の材料らしき物が並べてあり、保管庫としてはよい環境だそうです。

 勝納(かつない)町は、1870(明治3)年にできた信香(のぶか)町とともに小樽で最初に開けた町ですが、いまは静かな街並みです。逆に臨港線を越えた築港地区が、巨大な商業施設「ウイングベイ小樽」「小樽港マリーナ」などでにぎわっています。

 野口商店の畳業も、時代の波で「いずれ閉店せざるを得ないでしょう」と野口さん。覚悟を決めているかのような口ぶりに、いささか寂しい気持ちになりました。

 帰路、勝納川散策路を歩くと、珍しくウミウがとぼけた顔で羽を広げていました。

p143 勝納川~銭函駅周辺

 

 

『いまでも、見ることが出来るんだろうか?』