草逢々の埋立地 一

2021年02月09日

今・市營靑物市場

夏分だと百五十六台からの馬車が構内を埋る小樽市營靑物卸賣市場、看板の字もまだ目新しく、ここが草ぼうぼうたる市有埋立地とは誰が思はう、約二千坪、工費一萬三千圓を投じて着手九月三十日竣工式を擧げ、十月一日から華々しく開場した、この市場も農作物の季節を過ぎては事務所に商人が欠伸まじりに、碁石をパチリパチリと、はじける音もうそさむい、事務の竹本さんの話に聞くと、正月を目前に控へ静岡、新潟方面から玉ネギ、ゴボー類が若干輸入される昨今、一頃は明けきらぬ一時頃からざわめいた場内も、この頃では六時頃でないと人聲も聞かぬといふ、何がさて雨つづきと寒さに不作のたたりは些か市場も拍子ぬけの形ち、それでも五千圓投じた冬期設備が、十二日頃完成するといふから心強い、内部を「いろはにほ」の五棟に分けて

「い」朝里、熊碓方面

「ろ」奥澤、若竹町方面

「は」仲買業者

「に」盬谷方面

「ほ」蘭島、余市方面

面と區分してゐるが、例の余市との対立關係で「ほ」の方は有名無實となる、何といつても生産者が直接小賣りする習慣に押されて市場の飛躍はこれからだといふ、すぐ裏は岸壁で、船との積卸にも手つとり早くつと、南小樽驛とは」目と鼻の連絡もお誂へ向きとあるから將來の期待は大きい(寫眞は市場)

~小樽今昔ものがたり(上) 変る地帯 一 昭和十年十一月より

 

3羽目のオオワシ?

それとも

オジロワシ?