蹴人(しゅーと)

2019年10月27日

不惑の天才 沖縄で再起

 

МF 小野伸二 40 (琉球)

 シーズン途中での移籍に周囲は驚いたという。8月、2014年から在籍したJ1札幌を離れて新天地に選んだのは、今季J2に初昇格した琉球だった。「移動距離もすごかった。最北端から最南端なので」と笑う。

 琉球の倉林啓士郎会長から「沖縄をサッカー王国に」と口説かれた。今期、札幌でのリーグ戦出場はゼロ。

「新しいチャレンジをしたいという気持があった。」

クラブハウスはなく、練習着は自分で洗う。そんな環境に迷いなく飛び込んだ。 

 かつて「天才」と称された男のプレーをひと目見ようと、初出場となった8月17日の横浜C戦には、今季ホーム最多の約1万2000人が詰めかけた。ここまで7試合に先発出場し、調子も上向いてきた。

 9月に40歳を迎えた。髪型はトレードマークの坊主頭のままだが、ひげには白髪が交じる。「琉球がJ1にいたら日本のサッカーが盛り上がると、強く感じている。そこを目指してやっていきたい」。不惑の挑戦は始まったばかりだ。(古藤篤)

おの・しんじ

静岡県出身。1998年、清水商高(現・清水桜が丘高)から浦和に加入。フェイエノールト(オランダ)やボーフム(独)などでもプレーした。ワールドカップ(w杯)には98年のフランス大会から3大会連続で出場した。

 

~2019年(令和元年)10月25日(金曜日)

読売新聞より~