昭和 角打ちカウンターにようこそ

2022年02月25日

今もなお残る、角打ちの風景

当時を偲ばせる量り酒の一杯

 

 明治24年創業の味噌醤油醸造元。

 勝納川の河口付近で店を開いたのが始まりで、当時は本店のある新潟県白根市から、北前船で味噌や醤油を運んできた。その頃は長橋に工場があったが、同30年頃に現在の場所へ移り、販売所として店を構える。昭和3年に初代が他界し、跡を継いだ石川源蔵さんの代に建物を改築。昭和12年に建て直した風情のある建物は、100年以上続く老舗の歴史を今に伝えている。

 現在の店主は三代目の石川義勝さん。店内の一角に設けられたカウンターは、配達するときに荷物を置いておく場所として設置され、材質はボルネオやニューギニア産の南洋材が使われている。酒類小売業免許を取り酒やたばこも扱うようになったのは同28年頃。店内にはそれを示す琺瑯引きの看板が掲げられ、同じ頃に石川さんは後を継いだ。味噌や醤油の醸造は昭和60年頃まで続き、その後は酒の小売業に特化していくのである。

 配達の荷物を置くためのカウンターは、いつしか酒を売るためのカウンターになっていた。「当時は量り酒といって、自分で瓶か何かの容器を店へ持ってきて、店の親父がこうして漏斗と升で量を計りながら、容器へ入れてやったものだよ。こうやって酒を売っていたのさ」と石川さん。その時に、いつからか江戸時代からあったとされる店頭で小銭を払って酒を立ち飲みする、風俗(角打ち)も行われるようになったという。それは今なお、続いている。酒を買うでもなく、ふらりと近所のなじみ客が訪れ、1杯、2杯と飲んでいく。その間、店主とぽつりぽつりと交わす世間話のためにやってくるのだ。そのわずかな時間が大切なのである。コップ1杯200㎖で焼酎20度が160円、25度が170円、清酒が22円、ブドウ酒150円などだ。ビールは1瓶で295円。現代ではほとんど見られなくなった角打ちも、最近は若者の間で、いわばもっきりがブームになっている。

 昔は酒を買いに来たついでに量り酒を飲んで帰ったものだが、唯一販売している『北の王』も品薄。今はすっかり角打ちを楽しむ町内の憩いの場となっている。長年使わきたカウンターは、表面が摩擦によってツルツルに磨かれて丸みを帯び、深みのある色艶が何とも味わいのある趣だ。当時は1日に入れ代わり立ちで100人も客が訪れたそうだが、今ではなじみ客が昨日と同じ頃に顔を見せる。「もう跡を継がせる気もないけどね。やめたら寂しくなるといわれるもんだから」という石川さんに、「やめたら困るよ。ここへ来るのは日課だから」となじみ客。その存在は、かつてのにぎわいを知る人たちにとって、古き良き時代を懐かしむ、かけがえのない生活の一部となっているのだ。

プラントマガジン社 より

 

息子さんが

1月10日から再開しました

今日は私を含めて4名のお客さんがいました

味噌醤油工場のあった場所は

この

辺りだったそうです

長橋にあるこちらの病院の奥の方でした