三線講習

2026年05月30日

箆柄暦(びらつかこよみ)二・三月の沖縄

沖縄県三線製作事業組合 理事長 

とけし・みちまさ 氏

六百年続く三線文化を次世代に継承していく

 沖縄で六百年に及ぶ歴史を持つ「三線」。島々の民謡、琉球古典音楽、琉球舞踊、組踊、沖縄芝居、エイサーなど、琉球芸能に欠かせない楽器であると同時に、それ自体が重要な伝統工芸品であり、三線づくりもまた、後世に受け継がれるべき貴重な技術といえる。

 だが近年は、職人の高齢化と後継者不足、棹となる木材のクルチ(黒木=黒檀)の枯渇、安価な海外産品の増加など、技術の継承が危ぶまれる事態が顕著化しており、職人の間に危機感が広がっていた。もともと三線職人は各自で工房を構え、自営業者として三線の製作や販売を行ってきたが、こうした難問は「個人の努力で解決できるものではない。そこで有志が集まり、「組織で問題に立ち向かおう」と二〇一〇年に設立したのが「沖縄県三線製作事業協同組合」だ。 

 創立時から組合に参加する現理事長渡慶次道政は、「三線は沖縄の文化の原点だから、絶対に絶やしてはいけない、との思いで、三線づくりと組合の活動に尽力してきた」と語る。現在、組合の活動の主軸になっているのは、組合事務所に併設された店舗やオンラインショップでの三線の展示・販売だ。入門者が手に取りやすい低価格の製品をはじめ、職人がていねいに仕上げた「作り手の顔が見える」三線は、価格帯を問わず全品に一~五年間の保証が付いており、試し弾きも可能なので、初心者も経験者も安心して購入できる。

 また、組合では通常の三線の、胴の部分に泡盛のラベルをデザインした「泡盛」三線や、知名定男ら著名な実演家と共同制作した「アーティストモデル三線」など。組合オリジナルのコラボ三線も販売している。棹にクルチ以外の木材(代替材)を使用し、若手職人が製作を担当するこれらの製品が生まれた背景には、そのユニークさで三線の㏚や販売拡大を目指すだけでなく、将来的なクルチの枯渇を見据えた代替材の研究開発、若手職人の仕事の創出といった目的もあるという。

 さらに組合は三線ファンを増やすべく、県内外で三線教室や三線ライブ、展示会への出展なども実施してきた。この春には理事長の渡慶次が、三月四日(さんしんの日)から三月八日(さんばの日)にかけて、沖縄県立博物館・美術館で初の個展「三線の魅力」を開催する。渡慶次は三線職人として五〇年を超えるキャリアを持ち、二〇二四年には国の伝統工芸士認定も受けた大ベテラン。本人は、「三線づくりは奥が深くて難しい。どれだけ作っても(完成度に)満足したことはなく、一生勉強だと思っている」と謙虚に語るが、彼の手から生み出される三線は多き手を無料使、その名演を支えてきた。会場では新作一八点を含む三線約四〇点や小物類を展示するほか、実演家とのトークショー、三線・三板体験なども行う予定だ。

 そして三月二十八日には、組合が楽器メーカーのヤマハや大学等と共同で進める「沖縄三線文化継承プロジェクト」の研究発表を兼ねたレクチャーコンサートが、東京のヤマハホールで開かれる。このプロジェクトもまた、三線づくりの技術を次世代につなぐための取り組みの一つ。地道な努力を積み重ねる職人たちの活動を、この機会にぜひ知ってもらえればと思う。    (取材&文・高橋久未子/撮影・萩野一政)

おきみゅー で

3月6日

弾いてきました

後日、工房へ伺い

 

熊臼の浜で弾ける日は、来るのでしょうか?