実態調査(1992年)から その6~鉄骨鉄筋コンクリート造

2014年10月07日

1-4-2:二次調査の結果

構造

・・・や戸出物産(旧中越銀行小樽支店、大正13年)などがある。

 

SRC造(鉄骨の周りに鉄筋を組み合わせコンクリートを打ち込む鉄骨鉄筋コンクリート構造)は、さくら銀行小樽支店(旧三井銀行小樽支店、昭和2年)と斎田産業(株)小樽縫製工場(旧神野兄弟合名会社)の2棟だけであるが、中央の建築動向と関連している。この構造は、関東大震災(大正12年)以降に耐震構造として注目されたが、小樽への導入も震災後であり、前者はいち早く建築された。設計はいずれも中央の曽禰中條建築設計事務所(東京)と多田建築事務所(大阪)である。

 混構造は、大正末期から昭和初期にかけて建築したものが多く、RC造と木造、石造と木骨石造を組み合わせている。構造の過渡期を知るうえで興味ある建築と言える。

1-4-3:今後の課題

調査結果にもとづき具体的な保存整備の方策が望まれるところであり、重要な建築については詳細な実測調査や記録収集の継続調査が必要である。なお、江戸期の神社本殿、祝津の旧漁家の施設群は、北海道の神社建築および漁家建築の過程を知るうえで極めて貴重な遺構であるが、腐朽しているものもあり、早急に保存の方法を検討しなければならない。

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DVC00019.JPG(昭和5年)

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DVC00022.JPG駅前通り(中央通り)にある旧安田銀行

 

 

 

「 平成13年(2001年)中央通りの道路拡張工事が行われました。重量2000㌧の鉄筋コンクリート造の建物を斜め方向に約11メートル移動させ、新しいコンクリート製の基礎の上に乗せるという高度な技術を要する工事でしたが、昭和5年に建設したそのときと同じ施工業者が70年後のこの曳家工事も行ったそうです。コロを使って。」

 

 

 

DVC00041.JPG旧神野兄弟合名会社 (昭和7年)

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 ~南小樽地域は、明治期から繊維関係の商店、会社が集まり、今に続いている。神野兄弟合名会社もその一つで、「大正十二年版 小樽商工人名録」によれば、創業は明治32年であり、神野新平(明治10年生)が設立した。

 本建築は、南小樽の繊維街で最大規模であり、周辺の景観を印象付けている。構造は、鉄骨の周りに鉄筋を組み合わせコンクリートを打ち込む鉄骨鉄筋コンクリート構造である。(略してSRC構造)。小樽でのこの構造の採用はさくら銀行(旧三井銀行小樽支店、昭和2年)に次ぎ2番目である。いずれも設計は中央の建築事務所であり、本建築は大阪の多田建築設計事務所、施行は東京の赤江工務店であった。北側の本館と南側の別館は同時に建築されたものである。

 本館は地上3階地下1階建て、別館は4階建てであり、高低差を利用し廊下で接続する。本館は1階に事務所、重役室、2階に応接室、3階に展示室がありエレベーターを設置する。別館は1階に食堂、2階に従業員宿舎、3階に客間と仏間、4回に展示室を設けた。

 元斎田産業は、昭和50年から入居する。なお、近接する山一前川(株)(旧神野商店、入船1丁目4、大正9年頃)はこのSRC造の社屋を新築する機関の店舗として建てたものであり、新築後は神野商店雑貨部となった。木造モルタル塗りの建築であり、この構造の以降では極めて初期のものといえる。

 

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 (実態調査(1992年)から)