カテゴリー:乾児 絆

  • 几帳面エリート 新谷専太郎

    日付:2022年01月11日 カテゴリー:乾児 絆

     十六年もの長い間、小樽市長の座について市政の要を握り続けた安達与五郎氏が初めて第一回の選挙に立起したときのライバルは自由党の推す有力な経済界のチャンピオン新谷専太郎その人だ。 小樽市民の殆んどが九分九厘新谷氏が勝つだろ […]

  • 忠義な白鼠 柴野仁吉郎

    日付:2022年01月09日 カテゴリー:乾児 絆

     柴野仁吉郎を小樽の「豪商」の一人に加えるべきかどうかについて筆者はかなり迷った。小樽港の港湾関係者で市史編さん室の諸先輩にも訊き質してみたものである。 というのもこれまで本誌に連載されてきた多くの商人はいずれも独立独歩 […]

  • 中央バス開祖 杉江仙次郎

    日付:2021年12月20日 カテゴリー:乾児 絆

     間もなく新しい年が訪れようしている昭和二十八年十二月気息えんえんの仙次郎は年来の友人、松川嘉太郎を己の病室に招いた。昏睡状態からいっとき醒めた仙次郎は自分に万一のときは中央バスのことを…と喘ぎながら言葉にした。友の顔を […]

  • ベニヤの殿様 坂口茂次郎

    日付:2021年12月18日 カテゴリー:乾児 絆

     昭和四十二年代の今日、札樽新港、或いは石狩湾新港の仮称で輸入材受入れ体制の完備を目的とする新港の造成が青写真として描かれている。この新設案に対して遠浅さの日本海沿岸の砂浜にそんな港を造ろうとする計画自体が無理だとする声 […]

  • インテリ商人 稲葉 林之助

    日付:2021年12月16日 カテゴリー:乾児 絆

     札幌沿革史(明治三十年刊)の中に札幌と小樽の商人を比較した一文がある。「小樽商人は物事進取の気性に富み、果断にして性磊落(らいらく)なり。常に胸襟を開きて談笑し、更に隠蔽する所なし。之に反し札幌商人は一朝にして大廈(た […]

  • 北の醸造王 石橋彦三郎

    日付:2021年12月14日 カテゴリー:乾児 絆

     昭和六年新年号の講談倶楽部に「小樽市金満家名簿」なる財閥番付表が掲載されている。トップを飾っているのは、当時の金額で五千万円と記録されて海運王の名をほしいままにした板谷宮吉である。貴族院議員の肩書も重々しく、同じ年の納 […]

  • まじめ 仲買人 稲積豊次郎

    日付:2021年12月12日 カテゴリー:乾児 絆

    「劔〇を提げて軍陣に臨む男児、もとより屍を戦野に曝すの覚悟なかるべからず。故に身を軍籍に置くの士は、精鋭の意気迸るの余り、多くは粗苦に陥り易く、隊を出でて農商の業に帰すの後と雖も、惰力のなす所、容易に停止する能はざるもの […]

  • 運、鈍、根の人 中村卯太郎

    日付:2021年12月01日 カテゴリー:乾児 絆

     明治初期、〝維新のあぶれもの〟が日本の津々浦々にあふれ、武士は武士なり、町民は町民なりに先祖伝来の故郷をすて、殆んど着の身着のままで未地の国を目ざした。 初めはブラジル移民を夢見た一人の若者が途中で北海道に渡ることに決 […]

  • 入婿模範生 木村円吉

    日付:2021年11月27日 カテゴリー:乾児 絆

      小樽商工会議所の現会頭、木村円吉一家はこの地元の港町ではやはり毛並の勝れた素封家である。たとえば円吉の姉キミの夫は今年五月東京に去った小樽商大前学長の大野純一、妹イクは緑町の松下恭二弁護士に嫁している。津軽の一寒村か […]

  • 名妓・糸八 その1

    日付:2020年12月31日 カテゴリー:乾児 絆

    春や昔「名妓糸八」紅情史(うきよばなし)―生ひ立ちと其頃の港小樽―-明治四十年頃の中村糸八-『はしがき』北海道が生んだ名妓、中村屋糸八の名は餘りにも有名であり、且つは古い。明治元年の暮『鮭』の石狩辨天町に呱呱の聲をあげ、 […]